この記事の結論
- 図は見た目から選ぶと決まりません。主張を1つ決める → 材料を並べる → 材料の形から図を選ぶ、の順番にすると迷いが消えます
- 材料の形は、比べる・移り変わり・内訳・増減の理由・手順・原因の分解・位置づけ・階層・体制・変更の前後・並列の理由、のおおむね12通りです。形ごとに選ぶ図はほぼ決まっています
- 迷ったら「この図を見た人は、何と何を見比べるのか」を考えます。見比べてほしいものが一目で並ぶ図が正解です
提案書や企画書を作っていて、文章はできたのに、スライドにする段階で手が止まる。棒グラフにするか表にするか、フロー図にするか箇条書きのままにするか。テンプレートの図解パターン集を眺めても、どれも使えそうで、どれも違う気がする。
図解のパターン集は、型を並べてくれますが、手元の内容にどの型を当てればいいかまでは教えてくれません。この記事は逆の方向から整理します。伝えたいことの形を先に見て、そこから図を引く早見表です。
前半で、図が決まらない原因と、形から図を選ぶ順番を説明します。後半で、グラフと図解のそれぞれについて使いどころと避けたい選び方をまとめ、最後に迷ったときのチェックリストを置きます。
1. 図は「伝えたいことの形」で決まる
図を選ぶ前に、そのページで言い切りたいことを1つ決めます。図はその主張を支える材料を見せる道具なので、主張が決まっていないと、どの図が合うかも決まりません。
順番は次の3段です。まず主張を1つ決める。次に、その主張を支える材料(数字、項目、手順など)を並べる。最後に、並べた材料がどういう形をしているかを見て、図を選びます。
この順番にすると、図のどこを強調するかまで一緒に決まります。上の例なら、主張は「A案が最も低い」なので、色を変えるのはA案の棒だけです。主張が先にあるから、強調する1点が決まる、という関係です。
2. 図が決まらないのは、センスではなく順番の問題
図選びで手が止まるとき、原因はたいてい次の3つのどれかです。どれも、選ぶ順番が逆になっていることから起きます。
① 見た目から選ぼうとしている
パターン集を開いて「このページに合いそうな図」を探すと、候補が多すぎて決まりません。形の合わない図を選ぶと、材料を図に合わせて削ったり水増ししたりすることになります。たとえば、理由が2つしかないのに3本柱の図を選んで、3つ目をひねり出す。これは図が内容を決めている状態です。
② 1枚で2つのことを言おうとしている
「売上は伸びている。ただし利益率は下がっている」のように、1枚に主張が2つあると、合う図も2つになります。両方を1つの図に押し込むと、どちらも読み取りにくくなります。この場合は、図を選ぶ前にページを2枚に分けるのが先です。
③ 材料の形を見ていない
材料が「3つの案の費用」なのか「5年間の費用の推移」なのかで、合う図はまったく変わります。同じ「費用」でも、前者は比べる形、後者は移り変わりの形です。材料を書き出して形を確かめないまま図を選ぶと、ここを取り違えます。
3. 形別の図解パターン早見表
材料の形は、提案書で使うものに絞ると、おおむね12通りです。形ごとに選ぶ図はほぼ決まっています。下の図で、自分の材料に近い形を探してください。
図2を、使う場面と、代わりに選びがちな図と合わせて表にしたのが下の早見表です。
| 伝えたいことの形 | 選ぶ図 | こんな材料のとき | 避けたい代用 |
|---|---|---|---|
| 比べる | 棒グラフ/比較表 | 3案の費用、競合との機能比較 | 数字だけの箇条書き |
| 移り変わり | 折れ線グラフ | 5年間の売上、月ごとの件数 | 年ごとに並べた円グラフ |
| 1時点の内訳 | 円グラフ | 今年度の費用の内訳 | 項目の多い円グラフ |
| 内訳の変化 | 積み上げ棒 | 内訳が3年でどう変わったか | 円グラフを複数並べる |
| 増減の理由 | 滝グラフ | 利益が前年からいくら、何で増えたか | 前年と今年の棒2本 |
| 手順・段取り | フロー/工程表 | 導入までの流れ、半年の進め方 | 番号付きの箇条書き |
| 原因の分解 | ロジックツリー | なぜ問い合わせが減ったか | 原因を横一列に並べる |
| 2軸で位置づけ | 2×2マトリクス | 価格と品質で見た自社の位置 | 軸のない比較表 |
| 階層・積み上げ | ピラミッド | 基盤から目標までの段階 | 順序の伝わらない箇条書き |
| 誰がやるか | 体制図 | 実施体制、役割分担 | 担当者名の箇条書き |
| 変更の前後 | ビフォーアフター | 手続きが新しい運用でどう変わるか | 新旧を文章で説明 |
| 理由が3つ | 3本柱 | 選ばれる理由、提案の3つの柱 | 2つしかないのに3本柱 |
表は横にスクロールできます。提案書全体の章立てと、各章にどの図を置くかは提案書の構成の記事の第4章でも整理しています。
4. グラフ編:棒・折れ線・円・積み上げの使い分け
グラフは「読み手に何と何を見比べてほしいか」で選びます。同じ数字の表からでも、見比べてほしいものが違えば、選ぶグラフが変わります。
棒グラフ:違うものの大きさを比べる
案ごと、地域ごと、製品ごとのように、別々のものの大きさを並べて比べるときに使います。比べるのは棒の長さなので、縦軸は0から始めます。途中から始めると、わずかな差が何倍もの差に見えてしまいます。項目が多いときや名前が長いときは、横向きの棒にすると読みやすくなります。
折れ線グラフ:同じものの移り変わりを見せる
売上の推移、月ごとの件数のように、1つのものが時間とともにどう変わったかを見せるときに使います。見てほしいのは線の傾きなので、横軸は時間にします。線は多くても3〜4本に抑えます。それ以上重ねると、どの線が何かを追えなくなります。比べたい線が多いときは、同じ形の小さなグラフを並べるほうが伝わります。
円グラフ:1時点の内訳だけに使う
円グラフが向いているのは、ある1時点の内訳で、全体のうちどれが大きいかを見せるときだけです。項目が多いと細い扇形が並んで読めなくなるので、小さい項目は「その他」にまとめます。立体の円グラフは、手前の扇形が大きく見えてしまうので使いません。
積み上げ棒:内訳がどう変わったかを見せる
「内訳の変化」は、円グラフを年ごとに並べがちな材料です。しかし円が2つ3つ並ぶと、読み手は角度を目で比べることになり、変化がほとんど読み取れません。積み上げ棒にすると、同じ高さの中で各項目の割合を横に見比べられます。
滝グラフ:なぜ増えた・減ったかを分解する
「利益が前年から2,000万円増えた」とき、前年と今年の棒を2本並べても、分かるのは差の大きさだけです。滝グラフ(ウォーターフォール)は、その差を要因ごとに分解して見せます。前年の値から始めて、増えた要因を上向き、減った要因を下向きに積み、最後に今年の値に着地させます。どの要因がいくら効いたかが一目で分かるので、増減の説明を求められる場面で強い図です。要因は3〜6個に絞ります。
5. 図解編:フロー・ロジックツリー・2×2・体制図の使いどころ
図解は数字ではなく、ものごとの関係を見せる図です。関係の種類(順番、分解、位置、所属、変化)ごとに、合う図が決まっています。
フロー/工程表:順番と期間
導入までの流れや、プロジェクトの進め方を見せるときに使います。矢印でつないだフローは段階の数が少ないときに、横軸に月を取った工程表(ガントチャート)は作業が並行して進むときに向いています。提案書の工程では、各段階に期間と担当を必ず書き添えます。「いつ・誰が」がない工程表は、読み手に計画として受け取ってもらえません。
ロジックツリー:原因や課題の分解
「なぜ問い合わせが減ったのか」のような問いを、原因の束に分け、さらに具体的な原因に分けていく図です。原因を横一列に並べるだけだと、どれとどれが同じ根っこから来ているかが見えません。間に「原因の束」の段を挟むことで、構造が見えます。束は2〜4つ、末端は1行で読み切れる具体的な文にします。
2×2マトリクス:2つの軸で位置づける
価格と品質、緊急度と重要度のように、2つの軸で対象を4つに分けて位置づける図です。比較表と違って、誰もいない空白の象限が一目で分かるのが強みです。軸の両端に何を置くか(高い・低いなど)を必ず書きます。
体制図:誰がやるか
実施体制や役割分担は、担当者の箇条書きではなく、統括の下にチームがぶら下がる体制図で見せます。決裁者が知りたいのは「誰が責任者で、誰に連絡すればいいか」です。責任の所在が線でつながって見えることが、箇条書きとの違いです。
ビフォーアフター・ピラミッド・3本柱
ビフォーアフターは、制度や手続きの変更前と変更後を上下に並べ、変わった1か所だけを色で強調する図です。強調が2か所、3か所と増えると、何が変わったのかがぼやけます。ピラミッドは、基盤から頂点へ積み上がる段階や、優先度の階層を見せるときに使います。3本柱は、選ばれる理由や提案の柱が本当に3つあるときだけ使い、各柱に1〜2文の説明を添えます。
6. 1枚に図は1つ。言いたいことを先に決める
1枚のスライドに置く図は、原則1つです。図が2つ並ぶと、読み手はどちらから見ればいいか迷い、2つの図の関係を自分で考えることになります。
どうしても2つの図が要るときは、2つの関係がスライドの見出しで言い切れているかを確かめます。「円グラフと折れ線グラフ」ではなく、「シェアは伸びた(左)が、単価は下がった(右)」のように、見出しが2つの図の読み方を指示していれば、並べる意味があります。言い切れないなら、ページを分けます。
同じ指標を地域別・製品別のように切り口を変えて比べたいときは、例外です。同じ形の小さなグラフを並べる「スモールマルチプル」にすると、1枚のグラフに線を詰め込むより読みやすくなります。その場合も、全部のグラフで単位と目盛りをそろえるのが条件です。
7. 迷ったときのチェックリスト
図を決めたら、出す前に次の7項目を確かめてください。1つでも引っかかれば、図の選び方か、ページの分け方を見直す合図です。
8. Rontenの場合
この記事を公開しているRontenは、提案書のスライドを生成するAIの資料作成ツールです。図の選び方は、この記事と同じ考え方で作っています。
Rontenでは、ページごとに見出し(主張)と材料を先に決めてから、材料の形に合うレイアウトを25種類の中から選びます。図2の12パターンのほか、課題・現状・打ち手を1行ずつ対応させる表、規模の違いを円の大きさで見せる図、割合を粒の数で見せる図なども含まれます。選ばれた図が合わないと感じたら、そのページだけ「レイアウト変換」で、内容を保ったまま別の図に作り直せます。
書き出すPowerPointでは、グラフはPowerPointのグラフとして、元の数値と一緒に入ります。数字を直せばグラフも変わります。一方で、比較表はPowerPointの「表」の部品ではなく、図形を並べて描いています。各マスの文字は直せますが、行を足すときは図形を複製して並べ直す必要があります。詳しくはAIで作ったパワポが崩れる・編集できない原因と見分け方にまとめています。
9. まとめ
冒頭の結論に戻ります。図が決まらないのはセンスの問題ではなく、選ぶ順番の問題でした。
この記事の要点
① 図は最後に決める ― 主張を1つ決め、材料を並べ、材料の形から図を選ぶ。この順番にすると、どこを強調するかまで一緒に決まります。
② 形が分かれば、図はほぼ決まる ― 比べるなら棒、移り変わりなら折れ線、内訳の変化なら積み上げ棒、増減の理由なら滝グラフ。関係を見せるなら、順番はフロー、分解はロジックツリー、所属は体制図です。
③ 迷ったら「何と何を見比べるか」 ― 見比べてほしいものが一目で並ぶ図が正解です。1枚に図は1つ、強調は1点に絞ります。
内容の形に合う図を選んで、提案書をつくる
Rontenは、テーマと材料から見出しと骨子を出し、ページごとに材料の形に合う図を25種類のレイアウトから選んで、提案書のスライドを生成するAI資料作成ツールです。書き出すPowerPointは、図形とグラフをそのまま直せます。
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