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提案書のつくり方

コンサルの提案書の構成。
10章の型と、各ページに何を書くか

白紙のスライドの前で30分。書き上げたのに「で、何が言いたいの」と返される毎日。この2つは、才能ではなく順番の問題です。

この記事で分かること

  1. 提案書の章立てには定石があり、毎回ゼロから考える必要はないこと(10章の型をそのまま載せます)
  2. 「で、何が言いたいの」を消すのは本文ではなく見出しで、その書き換え方には決まった手順があること
  3. 各ページに何を書き、どの図を選ぶかは、伝えたい内容の「形」から機械的に決められること

提案書を書く仕事をしていると、同じところで毎回止まりませんか。PowerPointを開いて、表紙だけ作って、そこから先が進みません。あるいは一晩かけて20枚書いたのに、上司や相手先から「結局どれが提案なの」と言われてしまいます。

この2つは別々の問題に見えて、原因は同じところにあります。提案書を「情報を並べる作業」として書いているからです。提案書は情報の入れ物ではなく、相手に判断してもらうための論証です。論証には型があり、型があるということは、当てはめれば済むということでもあります。

この記事では、その型を全部出します。章立て、見出しの書き方、ページごとの図の選び方、そして提出前のセルフチェックまで。読んだその日の1本から使える形にしました。

1. なぜ手が止まるのか ― つまずきの正体は4つ

提案書のつまずきは、ほぼ4種類に収まります。そしてどれも、書く力の不足ではなく、決める順番を間違えたことから起きています。まず自分がどれで止まっているのかを特定してください。この記事の残りは、この4つに1つずつ答える構成になっています。

よくある症状本当の原因解き方
白紙の前で構成が決まらない章立てを毎回発明しようとしている。実際には資料の種類ごとに定石がある2章
情報は載っているのに主張が伝わらない見出しが「話題の名前」になっていて、主張が本文の中に埋まっている3章
章立てはできたが、各ページに何を書くか分からない「そのページで何を言うか」より先に「どう見せるか」を考えている4章
決裁者が読まない・要点が埋もれる提案書を調査報告の密度で書いている。この2つは作法が逆5章

このあと出てくる具体例の題材は、すべて架空の一般化した案件です。実在の企業・自治体の案件ではありません。

2. 章立ては考えない。提案書の定石10章に当てはめる

提案書の章立ては、毎回ゼロから考えるものではありません。意思決定者から「やりましょう」を引き出す資料の並びは、業界を問わずほぼ固まっています。まずこの10章を骨格として置き、テーマに応じて過不足を調整します。これだけで、白紙の時間は消えます。

#章この章が答える問い置く形(例)
1表紙何の提案か・誰から誰へか件名/相手先/日付
2要約結論は何か「課題 → 提案 → 効果」を1枚に凝縮
3背景・課題なぜ今これが問題なのか現状と痛みを数値で(出典つき)
4課題の構造なぜそれが起きているのか中心課題 → 論点の束 → 具体の要因
5提案(打ち手)何を、どうやって3本柱/「課題 → 現状(事実) → 打ち手」の3列
6期待効果やると何がどれだけ変わるか定量と定性を分ける。増減はその中身まで分解
7実施体制誰がやるのか体制図(統括と各チーム・役割)
8スケジュールいつまでに何が終わるのかフェーズ名と期間つきの工程
9費用いくらかかるのか項目 × 金額。最後に合計行を強調
10次の進め方承諾したら次に何が起きるのか要点の再掲+直後のステップ

この10章は、Rontenが提案書を生成するときに骨格として使っている構成そのものです。

3つだけ、外すと崩れる章があります

10章のうち、省略しがちなのに省略すると効かなくなるのが次の3つです。

2章の要約を、表紙の直後に必ず置いてください。これが「アンサーファースト」です。人は最初の1枚で「この資料を真面目に読むか」を決めます。結論を10枚目まで取っておく構成は、映画では正解でも提案書では失敗です。要約の1枚には、現状の数字・目指す数字・費用・効果の桁を必ず入れてください。数字がゼロの要約は要約ではありません。

4章の「課題の構造」を飛ばさないでください。3章で症状を並べて、5章でいきなり打ち手に飛ぶ提案書はとても多いのですが、これをやると「その打ち手でなぜ効くのか」が読み手の頭の中で繋がりません。症状を平らに並べるのではなく、中心にある1つの課題を置き、その下に論点の束を2〜4個、さらにその下に具体の要因をぶら下げます。この3段の分解を1枚にすると、次の打ち手が必然に見えます。

10章をポエムで締めないでください。最後のページに「共に未来を創造します」のような一文だけを置く資料をよく見ますが、実務の提案書では、最後も中身のあるページで終わります。要点の再掲と、承諾後に最初に動く一手と、その期日。この3つを置いて閉じてください。

3. 「で、何が言いたいの」は見出しの書き方で消える

主張が伝わらない提案書は、ほぼ例外なく、見出しが「話題の名前」になっています。「戦略3:移動の脱炭素化」「価格について」「市場概要」。これらは、そのページで何の話をするかは示していますが、何を言いたいかは一言も言っていません。読み手はページを開いて本文を読み、自分で結論を組み立てる作業を強いられます。その手間を面倒だと思われた瞬間に「で、何が言いたいの」が飛んできます。

直し方は1つです。見出しを、言い切りの主張文にしてください。コンサルティングの現場では「So What(だから何が言えるか)」と呼ばれる作法で、アクションタイトルとも言います。ページの中にある結論を、見出しに引き上げます。それだけです。

見出しの書き換え ― 悪い例と良い例

話題の名前

戦略3:移動の脱炭素化

何の話かは分かりますが、何を主張しているかはゼロです。読み手が本文を読んで、自分で結論を組み立てなければなりません。

言い切りの主張

車両の入れ替えより、配送ルートの再編のほうが先に効く

見出しだけで判断材料になります。本文は、この主張を支える根拠の置き場になります。

話題の名前

現状の課題について

「〜について」「〜とは」「〜の概要」「〜一覧」で終わる見出しは、ほぼ全部が話題の名前です。

言い切りの主張

問い合わせは増えているのに、受注が増えていない

対立や矛盾を含む見出しは、それだけで読み手の関心を引きます。

話題の名前

費用

1語の見出しは、目次の項目であって主張ではありません。しかも費用の章は、書き手が最も逃げたくなる場所です。

言い切りの主張

初年度の投資は、削減見込み額の8か月分で回収できる

金額そのものではなく、金額の意味を見出しに出します。ここで読み手は判断できます。

見出しだけを縦に読む ― ストーリーラインのテスト

見出しをすべて言い切りに直したら、最後に必ずこれをやってください。本文を全部隠して、見出しだけを上から順に読みます。それだけで論証が一本通っていれば合格です。通っていなければ、見出しの順番か、そもそもの論理が壊れています。

図1:見出しだけを縦に読んで筋が通れば、その提案書は通る
見出しが話題の名前のとき
背景について
現状分析
課題の整理
施策のご提案
期待される効果
縦に読んでも、何も分からない
見出しが言い切りの主張のとき
問い合わせは増えているのに、受注が増えていない
失注の7割が、初回返答までの待ち時間で起きている
返答が遅れるのは、見積作成が1人に集中しているため
見積のひな型化で、返答を当日中に戻せる
受注率が戻れば、投資は8か月で回収できる
縦に読むだけで、論証が最後まで通る
右側の見出しは架空の案件によるサンプルです。数字は例示のためのもので、実在の調査結果ではありません。

この形になっていると、忙しい決裁者が見出しだけを拾い読みしても、提案の筋が伝わります。逆に言えば、拾い読みに耐えない提案書は、読まれないのではなく、読んでも分からないのです。

見出しは長くなりすぎても読まれません。スライド1枚のタイトル帯に無理なく収まるのは、全角で40字ほどまで。Rontenでは、この40字を超えた見出しを自動で警告する仕組みを入れています。主語と修飾を削って、言い切りだけを残してください。

4. 各ページに何を書くか ― 内容の「形」から図を決める

ページの中身が決まらないときは、順番が逆になっています。「このページはどう見せようか」から考えると、いつまでも決まりません。正しい順番は、まずそのページで言い切る主張を1つ決め、次にその主張を支える材料を並べ、最後に材料の「形」から図を機械的に選ぶことです。

材料の形と図の対応は、実はほぼ一対一で決まっています。下の表は、Rontenが実装している25種類のレイアウトから、提案書でよく使うものを抜き出したものです。左の列に自分の材料を当てはめれば、右の列が答えになります。

言いたいことの形選ぶ図効く理由
理由・要素が3つある3本柱並列だと分かる。各柱に1〜2文の説明を必ず入れる
課題の要因を分解するロジックツリー症状を平置きせず、束ねる中間の論点が見える
課題ごとに打ち手を対応づける「課題 → 現状(事実) → 打ち手」の3列1行で論理が完結する。事実の列と主張の列を分けられる
AとBを比べる2カラム対比/比較表評価軸を全候補に同じく適用できる
2つの軸で位置づける2×2マトリクス空白地帯(誰もいない象限)が一目で分かる
工程・段取りを示す矢印フロー/ガント順序と期間。フェーズ名と期間を必ず添える
なぜ増えた・減ったかを説明するウォーターフォール(滝グラフ)棒2本の比較では「どの要因がいくら効いたか」が出ない
構成比を示す(1時点)円グラフ複数時点の構成比の変化なら積み上げ棒に替える
「100社中37社」の体感で伝えるドットマトリクス%の抽象より、数えられる粒のほうが刺さる
桁が違う規模を対比する面積比例円市場規模と自社売上のような差は、棒より面積が届く
制度・運用の変更前後を示すビフォーアフター変わった1点だけを強調できる
誰がやるのかを示す体制図箇条書きで代用しない。体制は図で見せる章

レイアウトは全25種類。上表はそのうち提案書で使用頻度の高いものです。グラフと図解の使い分けを図つきで詳しく見たい方はパワポの図解パターン早見表へ。

ページの中身が薄くなる、2つの書き方

図の型が決まっても、中身がスカスカになることがあります。原因はたいてい次の2つです。

体言止めの羅列

既設設備の活用によるコスト優位

供給の安定性

ラベルを並べただけです。読み手は「なぜそう言えるのか」を自分で補わなければなりません。

主張+根拠を1〜2文

既設のラインから直接引けるため、新規の設備投資が要らず初期費用を最小化できます。すでに連続稼働している設備なので、供給も安定します。

主張・メカニズム・含意の3つが1〜2文に入っています。これが「読める分析」です。

記号だけの比較表

A案 ◎/B案 △/C案 ×

評価は分かりますが、なぜその評価なのかが表から読めません。質疑で必ず突っ込まれます。

記号+根拠語句

A案 ◎ 既存契約で対応可/B案 △ 初期負荷が大きい/C案 × 社内に運用者なし

表を見るだけで判断根拠が読めます。推す案の弱点も、隠さずカバー策とセットで書きます。

比較表をつくるときの注意をもう2つだけ。1枚の表は9行までに抑えてください。それ以上は1行が潰れて読めなくなります。そして評価の記号(◎○△×)と増減の記号(▲▼)を同じ表に混ぜないでください。「▲2.1%」を減少の意味で使う慣行もありますが、増加と読む人もいます。1つの資料の中で、記号の意味は1系統に固定してください。

5. 決裁者が読まないのは、密度を間違えているから

提案書と調査報告は、情報密度の作法が正反対です。ここを取り違えると、丁寧に作った資料ほど読まれなくなります。

調査報告は「整理して多い」が正解です。国の委託調査報告書のように、1枚に図と表と本文と注を同居させて、情報を構造化して詰め込みます。読み手は後から参照する前提なので、密度が高いほど資料としての価値が上がります。

提案書は逆です。1スライド1メッセージ。密度より明快さを優先します。読み手は意思決定者で、読む目的は「やるか、やらないか」を決めることだけ。判断に要らない情報は、親切ではなく障害物になります。具体的には、1枚の主要要素は3〜4個まで、各要素の箇条書きは2〜3点まで。図と表と本文と注を1枚に同居させないでください。余白は、手抜きではなく設計です。

図2:同じ中身でも、提案書と調査報告では置き方が逆になる
提案書 = 疎

1枚1メッセージ。判断に要る分だけを置きます。

見出し=言い切りの主張 要素1 要素2 要素3 下半分の余白は、埋めない
読み手=いま決める人
調査報告 = 密

図・表・本文・注を1枚に構造化して詰めます。

図 表 本文と注まで1枚に載せる
読み手=あとで参照する人
同じ調査結果を扱っても、提案書では3要素に絞り、調査報告では1枚に畳み込みます。密度の正解は、資料の種類で決まります。

詳細な積算の内訳、前提条件の一覧、参考データ。これらは捨てるのではなく、付録に回してください。本編は判断に必要なものだけにして、聞かれたら付録を開きます。この形なら、丁寧さと読みやすさは両立します。

同じ形のページを続けない

もう1つ、読まれない資料に共通する特徴があります。同じレイアウトが2枚以上続いていることです。箇条書きのページが3枚続くと、3枚目は読まれません。人は、見た目が変わらないページを「さっきと同じ話」として処理します。

隣り合うページは必ず別の形にしてください。そして箇条書きのページは、1本の提案書で多くても2枚までに抑えてください。3つの理由なら3本柱に、課題と打ち手の対応なら3列の表に、順序があるなら矢印フローに。箇条書きは、構造化をあきらめた形です。

6. 相手に指図しない ― 提案書のトーンの型

提案書の文章で一番やってはいけないのは、読み手に命令することです。「〜すべきである」「〜してください」「本提案を採用すれば」。書いている側は前向きに書いているつもりでも、読み手からは、自分が従う前提で書かれた資料に見えます。特に相手が官公庁や大企業の決裁者のときは、これだけで評価が下がります。

直し方は、主体を消すことです。誰がやるかを書かず、何がどう変わると、どの指標がどれだけ改善する見込みなのかという因果と見込みだけを、中立に断定します。

指図している

本提案を実行すれば、導入量の拡大・回収年数の短縮・稼働率の向上という3つの効果が得られます。

「実行すれば」に、読み手が従う前提が入っています。提案を受ける側からは押し付けに見えます。

中立に断定している

制度・コスト・情報の3点を一体で見直すと、導入量・回収年数・稼働率の3指標で改善が見込めます。

主体を消し、因果と見込みだけを述べています。判断は読み手に残されています。

もう1つ、信頼を落とさないために。確定した事実と、検証前の見立てを混ぜないでください。出典やデータで裏づけられる事実は中立に断定してよいのですが、まだ検証していない推測は「(仮説)」と明示します。仮説を事実と同じ断定調で書くと、1か所バレただけで資料全体が疑われます。

そして数字を出したページには、必ず出典か根拠を添えてください。機関名・資料名・年、ウェブが根拠ならURLと閲覧日まで。これは自信のなさの表明ではなく、追跡可能性を担保する専門家の作法です。逆に、自社の価格表のような確定情報に「要確認」と付けるのはやめてください。それは弱気ではなく、単に不正確です。

7. 提出前のセルフチェック10項目

書き上がったら、提出の前にこの10項目を通してください。どれも、レビューで赤が入る定番の欠陥です。Rontenでは、これらを生成後に機械で検査する仕組みとして実装しています。手で書くときも、同じ順番で見れば同じ穴を塞げます。

1見出しだけを上から読んで、論証が通っていますか。通らないなら順番か論理が壊れています
2「〜について」「〜とは」「〜の概要」「〜一覧」「〜まとめ」で終わる見出しが残っていませんか
3同じ形のページが2枚続いていませんか。箇条書きのページが3枚以上ありませんか
4見出しの「3つの施策」と、本文に並んでいる要素の数は一致していますか
5見出しに書いた数字が、そのページのグラフや表の中に実際にありますか
6数字を出したページに、出典または根拠が書かれていますか
7比較表のセルの数は、列の数と全行で揃っていますか。9行を超えていませんか
8評価の記号(◎○△×)と増減の記号(▲▼)が、同じ表に混ざっていませんか
9同じものを2つの言葉で呼んでいませんか(表記ゆれは1資料1用語に統一)
10「〜すべき」「〜してください」「本提案を採用すれば」が残っていませんか

とくに4番と5番は、自分では気づきにくいのに指摘されると痛い箇所です。見出しに「3つの打ち手」と書いたまま本文を2つに削ってしまう例、グラフの数字を直したのに見出しの数字を直し忘れる例。どちらも、内容ではなく作業のミスですが、読み手からは「詰めが甘い資料」として記憶されます。

8. まとめ

冒頭の問いに戻ります。白紙の前で止まるのも、「で、何が言いたいの」と返されるのも、才能の問題ではなく順番の問題でした。

この記事の要点

構成は当てはめるもの ― 提案書の章立ては、表紙・要約・背景・課題の構造・提案・効果・体制・スケジュール・費用・次の進め方の10章。毎回考え直す必要はありません。

主張は見出しに引き上げる ― 「戦略3:移動の脱炭素化」ではなく「車両の入れ替えより、配送ルートの再編のほうが先に効く」。見出しだけを縦に読んで筋が通れば、その提案書は伝わります。

ページの中身は内容の形から決める ― 要因の分解ならロジックツリー、課題と打ち手ならその対応を3列に、増減の説明なら滝グラフ。見せ方から考えると決まりません。

提案書は疎に保つ ― 1枚1メッセージ、要素は3〜4個、箇条書きは2〜3点まで。詰め込みは調査報告の作法であって、決裁者向けの作法ではありません。

Ronten

この記事の型を、そのまま実装したツールがあります

Rontenは、ここに書いた10章の骨格・言い切りの見出し・内容の形に応じた25種類のレイアウト・提出前の機械チェックを、そのまま組み込んだAI提案書ツールです。テーマを入れると、まず見出しと要点の骨子を出すので、論点を整えてから生成に進めます。書き出しは、そのまま手直しできる編集可能なPowerPointです。

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